遠くのものを気軽に見られる双眼鏡。
野鳥観察や天体観測、自然探索などの趣味の幅が大きく広がるので、もっと楽しむために購入を検討される方もいると思います。しかし、いざ家電量販店や通販サイトで双眼鏡を調べると、多くの種類があって、どれを選べばよいか迷いますよね。
本記事では、野鳥観察歴約20年の私が、双眼鏡の選び方や、双眼鏡「アバンター 8×32 ED Ⅱ」を試した感想をお伝えします。
「どんな使い心地か知りたい」という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
INDEX
アバンター 8×32 ED Ⅱは、ケンコー・トキナーという日本の光学機器メーカーの双眼鏡です。
まずは、今回試してみたアバンター 8×32 ED Ⅱのスペックと、双眼鏡を選ぶポイントをご紹介します。
付属品は以下8点と、ケースやレンズクロスも入っており、使い始めるのに不足のない内容でした。
アバンター 8×32 ED Ⅱの価格やサイズ、基本的な仕様は以下となります。
■希望小売価格
■サイズ
■基本仕様
今回はアバンター 8×32 ED Ⅱをご紹介しますが、ベストな双眼鏡は目的や観察スタイルによって異なります。
まずは、双眼鏡の選び方のポイントをレクチャーします。
さまざまな種類の双眼鏡
双眼鏡には「8×30」「10×42」のように「倍率×対物レンズ径」が表示されています(対物レンズ径については次の項で説明します)。初心者にありがちなのが「とにかく倍率が高い方がよく見える」と思ってしまうこと。
しかし、倍率が高くなるほど手ブレの影響を受けやすく、視野も狭くなるため、扱いが難しくなります。双眼鏡で何を見たいかによりますが、初心者には8倍程度がおすすめの倍率です。
「ひとみ径」とは、双眼鏡をのぞいたときに目に入る光の直径のことで、ひとみ径が大きいほど明るく見えます。
ひとみ径は「対物レンズ径÷倍率」で計算でき、一般に3mm以上あれば日中の観察に十分です。暗い場所や早朝・夕方の観察には4mm以上が理想です。
双眼鏡を通して見える範囲を「実視界」といいます。視界が広いと、動く対象を見失いにくく、全体像をとらえやすくなります。
特にバードウォッチングやスポーツ観戦などの動くものを見るシーンでは、視界の広さが重要なポイントになります。
双眼鏡は手で持って使用するため、重さも重要な選定基準です。
軽すぎると作りが簡素な場合もありますが、重すぎると疲れやすくなります。登山や旅行など長時間持ち歩く場合は、500g以下のモデルが扱いやすくおすすめです。
今回、種類が数多くある中から、アバンター 8×32 ED Ⅱを選んで試してみた理由をお伝えします。
先ほど、倍率が大きすぎると手ブレの影響を受けやすくなるとお伝えしました。初心者でも比較的扱いやすい倍率が、今回選んだ双眼鏡の「8倍」です。
筆者は普段、少しでも近くで野鳥の姿を捉えたいという狙いで、10倍の双眼鏡を使っています。しかし、高い木や頭上の野鳥を見上げるときは、腕が疲れて像がブレてしまうことも。
今回は8倍を試して、視界の安定感を確かめてみたいと思いました。
8倍の双眼鏡だと、遠くの物を視界に入れた後もブレにくく、じっくり物を観察することができます。
アバンター 8×32 ED Ⅱは実視界7.5°という広めの視野を持っています。
広範囲を一度に見渡せるので、野鳥や動物など動くものの観察でも対象を追いやすく、「どこを見ればよいか分からない」というストレスが軽減されます。
視界が暗すぎると、対象物を捉えることができても、細部までよく見えません。自然観察が目的の場合、曇りの日も多いため、明るく見える双眼鏡の方が適しています。
アバンター 8×32 ED Ⅱのひとみ径は4mm。日中はもちろん、少し光量が落ちた時間帯や、曇りの日の森の中でも十分な明るさを保ってくれます。
本体重量は410gと、片手で楽に扱える軽さ。
登山や散策でも荷物になりにくく、長時間使っていても手や首に負担を感じにくい、ちょうどよいサイズ感です。
アバンター 8×32 ED Ⅱの特徴のひとつに、ED(特殊低分散)レンズが使われていることが挙げられます。
通常のレンズが使われている双眼鏡の場合、遠くの被写体を見るときに、輪郭が青や赤っぽくにじんで見えることがあります。これは「色収差」と呼ばれる現象です。
EDレンズはこのにじみを抑えて、輪郭をシャープに、色を自然に見せてくれます。より本格的に自然観察を楽しみたい場合にはおすすめのレンズです。
ここからは、筆者が実際にアバンター 8×32 ED Ⅱを持って公園に出かけ、自然観察をしてみてのレビューをお伝えします。
まず感じたのは、手に取ったときの軽さとコンパクトさです。
自然観察するときは、双眼鏡を首にかけたまま歩き続けるシーンが多いです。そのため、重い双眼鏡だと首に負担がかかります。実際、筆者も普段700g程度の双眼鏡を使っていますが、フィールドに長時間出ていると首が凝ることも。アバンター 8×32 ED Ⅱは410gと、500mlのペットボトルよりも軽く、持ち運びにも快適です。
また、片手でしっかりホールドできるサイズ感なので、登山や野鳥観察、旅先への持ち運びにもぴったりです。小さなショルダーバッグにも入るので、「ちょっと使いたいときにすぐ取り出せる」感覚があります。
本モデルの倍率と実視界のバランスのよさは、初心者にも扱いやすいと感じました。
倍率は8倍と、遠くまでしっかり見えてブレも少なく観察しやすいです(実際に覗いてみた下のGIF動画をご覧ください。GIF動画のため画質は粗くなっています)。
本体の軽さもあいまって、高い木を見上げるときに腕が疲れて不安定になることもありませんでした。ただし、風が吹いたときには軽くて少しブレやすいと感じました。
また、実視界は7.5°と広めで、野鳥や動物など動く対象を見失いにくく、風景や全体をとらえたいシーンにもぴったり。見たいものをスムーズに捉えられるため、ストレスなく観察を楽しむことができます。
観察に慣れてきた方や、もっと大きく見たいという方は、10倍以上の双眼鏡や望遠鏡も役立ちます。しかし、倍率が大きくなるほどとっさに視界に入れにくくなるので、まずは8倍で試すのがおすすめです。
私は普段、10倍×42mmの双眼鏡を使っていますが、遠くまで見えやすい代わりに持ち運びには少し重いので、サブ機として8×32 ED II アバンターが欲しくなりました。
アバンター 8×32 ED Ⅱで覗いたスズメ
そして最大の魅力は、ED(特殊低分散)レンズによるクリアな見え方。遠くの被写体でも輪郭がぼやけず、色のにじみが少なく、非常に鮮明に見えました。
例えば、鳥の羽の模様や山の稜線、遠くの木の葉の様子など、細かな部分までしっかり観察できるのはこのモデルならでは。双眼鏡に「くっきり見える感動」を求める人には、ぜひ体験してほしいです。
アバンター 8×32 ED Ⅱで覗いた木をスマホで撮影
ここまで、双眼鏡の選び方や、アバンター 8×32 ED Ⅱを選んだ理由をご紹介してきました。
とはいえ、双眼鏡をそもそもお持ちでない方は、どの双眼鏡が自分に合っているかイメージが付きにくいと思います。ここでは、双眼鏡をレンタルするのがおすすめな理由をお伝えします。
ケンコー・トキナー/Kenko Tokina Avantar 8×32 ED Ⅱ
双眼鏡は、スペックだけでは分からない「使い心地」がとても重要です。
例えば、同じ倍率やレンズサイズでも、実際に覗いてみると明るさや見え方に差があったり、手に持ったときの重さやバランスが気になったりすることもあります。
家電量販店などでも手に持って見え方を体験できますが、実際に外で使ったときの見え方はまた異なるので、購入後にイメージと少し違うと感じることも。
レンタルを活用すれば、自分に合ったサイズ感や見え方を体験できるので、後悔のない選択につながります。
本格的な双眼鏡は、数万円から数十万円と高額になることも珍しくありません。初めての購入でいきなり高価な機種を選ぶのは、心理的にも経済的にもハードルが高いものです。
レンタルなら数日~1週間などで気軽に試せるので、初心者の方でも安心して使うことができます。
「初めて自然観察に挑戦する」「1~2回だけ使ってみたい」というときにも、本格的な双眼鏡を手軽な価格で使えるので、体験としての満足度も高いです。
アバンター 8×32 ED Ⅱをレンタルすれば、手軽に高性能な双眼鏡を使って満足度の高い経験ができるので、ぜひレンタルも検討してみてください。
ケンコー・トキナー/Kenko Tokina Avantar 8×32 ED Ⅱ
アバンター 8×32 ED Ⅱは、軽量で持ち運びやすく、視界が広くて明るく見えるため、自然観察をこれから始めたい方にもぴったりの双眼鏡です。EDレンズによって被写体がくっきりと見えるのも大きな魅力で、初心者だけでなく、より本格的に自然を観察したい方にもおすすめできます。
子どもの自由研究や、登山やキャンプ、旅行に合わせてスポット的に使うなど、双眼鏡のレンタルが活躍するシーンは少なくありません。
また、購入を検討しているときにも、価格面でのハードルが高く、スペックだけでは使い心地が分かりにくいため、レンタルで一度試してみるのも選択肢の一つです。
今回私がレンタルしたSUUTAでは、2週間借りても3,200円(2025年現在)なので、余裕を持ったスケジュールでじっくり使うことができます。
ぜひ自分の目で体験して、ご自身に合った1台を見つけてみてください。