今や日常生活に欠かせないコミュニケーションツールともいえるスマートフォン。
総務省が毎年発表する「通信利用動向調査」によると、2022年時点での日本人へのスマートフォン普及率は、なんと90.1%にものぼるといわれています。※1
「もしも大事な用事があるときに、スマホが壊れてしまった」
「急遽イベントや撮影用に、何台も必要になった」
そんなお客様のニーズに応えるべく、業界最高クラスのサービスと在庫数でスマートフォンのレンタルサービスを展開するのが、スマホゴールド株式会社です。
今回は、レンタル事業の現状や最近のトレンドについて、同社の子会社にあたる株式会社サンガウルのエリアマネージャー・佐藤吉和(さとう・よしかず)さんにお話を伺いました。
――現在の事業内容を教えてください。またあわせて、事業を始めた経緯をお聞かせください。
佐藤さん:法人と個人、両方のお客様を対象としたスマートフォン端末のレンタルを中心に、買取・修理・販売も行っています。もともと私たちは、池袋でスマートフォンの修理サービス事業を営んでいました。開業当初は競合他社も少なかったのですが、そのうちどんどん他店が出てきて、結局、お客様の取り合いになってしまい。そこで、中古品を買い取り、販売・レンタルをやってみよう!ということになったんです。
レンタルも始めようということになったのは、中古品の在庫を余らせておくのがもったいないからという理由です(笑)。それが、今から10年ほど前の話になります。いざレンタルを開始してみると思いのほか需要があり、弊社の主力サービスとなりました。
――修理サービスがすべてのはじまりだったんですね。ちなみに、10年前と比べて、レンタル事業全体は伸びているのでしょうか。
佐藤さん:時期によって客層が変わりつつも、一定して需要があるという印象です。新型コロナウイルスが蔓延した当初は、一時的に注文件数が激減したのですが、その後、企業のテレワーク導入に伴って社用携帯として大口注文が増え一気に持ち直しました。ですが、実はうちの売上だけでいうと、最近はやや減少ぎみなんです。理由は、大手企業の参入です。そのため、うちならではの強みを打ち出して、差別化を図ることが重要だなと思っています。
――スマホゴールドのレンタルサービスならではの強みというと?
佐藤さん:スピード感ですね。企業からは「コマーシャルを撮影しているのですが、今からレンタルできませんか?」といった急なお問い合わせが多いです。このような場合でも、必要な機種の在庫があるか確認し、すぐに持って帰っていただけます。
営業時間は夜の7時までなのですが、閉店1時間前くらいに「今虎ノ門にいて、今日中に受け取りたいんですけど、間に合いますか……!?」みたいな方もときどきいらっしゃいますね(笑)。当店は東京にありますが、大阪から急遽お問い合わせがあった場合でもその日の集荷に間に合えば、翌日午前中にはお届けできますよ。
――とても早くてありがたいですね。
佐藤さん:基本的には、前日にご連絡いただければスムーズに持ち帰れます。大手企業ほどではありませんが、在庫数が豊富なのも私たちの強みです。古い機種もある程度取り揃えているので、ドラマなどの撮影時に時代背景に合ったものを提供できます。お客様がレンタルを必要としている状況によって、注文するべき機種はさまざまです。そのため、基本はお電話で一度ご相談いただくのがよいと思います。
――少し話は変わりますが、佐藤さんは前職でも修理関係のお仕事を?
佐藤さん:いえ、まったく別の仕事をしていました。ある日偶然今のオーナーと知り合い、約3カ月間修行させてもらい、修理の技術を覚えました。その後、「どこかに店舗を出そうよ」という話になり、東京・池袋で開業したんです。
――そうなんですね。僕自身、何度もスマホ修理サービスにお世話になっているのですが、そんなに短期間で修理の技術を身につけられるとは驚きです!
佐藤さん:僕はたまたま、センスがあったみたいです(笑)。アルバイトの方たちに「このとおりに修理してみて」と言うと、そのまま再現できるのってごく少数で。いろいろな小さいネジを順に外していって、ちゃんと元どおりしないといけないので細かい作業なんですよね。終わったあとに「あれっ、1個余っちゃった」ってわけにもいかないですし(笑)。僕は割と几帳面なので、向いているのかもしれないです。
――スマートフォンって、バージョンごとに機能が全然違いますよね。メーカーによっても仕様が異なりますし。どうやって、修理のノウハウを身につけたんですか?
佐藤さん:人間の着替えだったら、まずジャケットを脱いで、それからインナーを脱ぐじゃないですか。そしてもう一度着るとき、まったく逆の順番で着るわけです。これって車であれスマホであれ、同じなんですよ。ちゃんと構造を理解できていれば分解できますし、元に戻せます。ただ、メーカーの正規マニュアルどおりに修理しているわけではないので、かなり試行錯誤していますね。そのため、社内での知識共有や、新しく入ったアルバイトの方へのやり方の伝達が結構大変なんです。
――興味深いエピソードだらけですね。そして、修理だけでなくレンタルも始めたと。
佐藤さん:結局、一台の画面交換に30分ずつかけていたら、1日8時間働いても16台しか修理できないんですね。水没が原因で故障した場合なんて、修理するのに2時間以上かかってしまう。修理だけだと売上が頭打ちになってしまうんです。そこで、買取と販売をはじめてみました。ただ、いざ販売しようとすると、店舗に端末が余ってしまう。そこで、これを活用してレンタル品として貸し出そう!と思い立ったわけです。
――どのようなときに、仕事へのやりがいを感じますか?
佐藤さん:レンタルサービスをやっていても、実は感謝の言葉をいただく機会はほとんどないんです。一方、修理サービスに関しては、思い出深いエピソードが結構あります(笑)。
――そうなんですか、たとえばどんなことが?
佐藤さん:以前、水没してしまって、電源が入らなくなったスマートフォンを復旧したんですね。そうしたら、「もう、絶対にダメだと思っていました!!」と感動のお声をいただいて。
――故障して八方塞がりになっているお客様にとって、佐藤さんのような職人さんは最後の砦ですよね。
佐藤さん:ありがとうございます。そのときのお客様は、「メーカー保証の修理に出すあいだ、スマートフォンを借りたい」とうちのレンタルサービスを利用された方だったんです。「うちは修理サービスもやっていますよ」とお伝えして、ヒアリングしたところ、「データをバックアップしていなかったので、本体は直っても、データは消失してしまう」とお悩みだったんです。そこで、「うちなら、データも復旧できますよ!」と修理を引き受けました。結果、大変ご満足いただけました。
ーーレンタルするのはどのようなお客様が多いですか?
佐藤さん:法人は短期でドラマなどの撮影用に、個人は年単位など長期にわたって、ビジネスシーンで活用される方が多い印象ですね。SIMカードのみの貸し出しも行っていますが、端末そのものの方が人気です。そしてどちらも、ほとんどがお急ぎの方ですね。
――企業のレンタルサービスにおけるトレンドはありますか?
佐藤さん:人気どころは、iPhone、Androidの2大巨頭です。とくに機種へのこだわりがない方には、一番安価な製品をご提供しています。クリエイティブな事業を展開する企業様でしたら、撮影でモデルさんに持たせる機種をすべてAppleの製品で統一する場合もあります。反対に、民放ドラマの撮影では、iPhoneは使用しない場合がほとんどですね。企業のロゴマークが入らないように、配慮しているんだと思います。
――個人のお客様のあいだで、人気な機種はありますか?
佐藤さん:最近では、5大ドームなど広い会場でのコンサート撮影用に「自分が使っている機種よりも画質のよいものをレンタルしたい」という要望が多いですね。ズーム機能が充実した最新機種は、「推し」の撮影にもピッタリです。また、コンサート会場の様子がミュージックビデオに映り込むかもしれないので、iPhone以外を希望するお客様が多いです。いろいろなニーズがあるんだなぁと、毎回興味深いですね。受け取り方に関しては、郵送を希望する方が多いです。ですが、地方から都内のイベントに遠征してくる方のなかには、直接店舗に寄って製品を受け取ってから会場へ向かう方もいます。そうすれば、1日分の料金を節約できますしね。
――ほかに、人気のオーダーはありますか?
佐藤さん:最近多いのが、「容量64GBのiPhoneから、同じ容量の別機種に乗り換えたいけれど、ぎりぎりまでデータを使用していたのでうまく移し替えられない。そこで3日ほど、より容量の大きなスマートフォンを借りたい」といったご要望です。これは、この仕事をしてないとなかなか気がつけないニーズだったなと。それから、「子どもが林間学校へ行くあいだの連絡手段として子どもに持たせたい」などのケースもあります。
――お客様がレンタルを希望する理由って、幅広いんですね。他には、お客様からよく寄せられる要望はありますか。
佐藤さん:「本体にアプリケーションを入れてから送ってもらえますか?」という要望はよくいただきますね。ただ、アプリを入れるにはApple IDが必要なので、こちらで代わりにやるのはコンプライアンス的に難しいんです。それから、「このバージョンのOSを使用したいのですが」という問い合わせもたまにあります。そういった場合は、在庫から探し、あれば貸し出しています。
――レンタルサービスについて、今後の展望をお聞かせください。
佐藤さん:現在、ネット上での支払いは銀行振込のみのため、今後はクレジット決済を取り入れ、注文時のフローを少しでも簡略化したいと思っています。また、できることなら保証金も取らないようにしていきたいですね。もちろん、弊社としては盗難対策も大切なのですが、保証金を毎回支払うのはお客様にとって相当大きな負担だと思いますので。また、法人のお客様でも、キャッシュフローが複雑なことから入金していただけず、契約につながらなかったケースもあるので、もっと「利用しやすさ」を追求していきたいですね。
――では最後に、SUUTAへ出品するにあたり、スマホゴールドの商品をどのようなお客様に利用してほしいですか?
佐藤さん:現在弊社が主にお取引させていただいているのは法人のお客様です。また、個人のお客様も、年単位のような長期貸与をご希望の方が多いです。そのため、今後は個人で「3~4日間、ピンポイントで借りたい!」といった短期貸与をご希望の方が増えていけばいいなと思っています。今まで弊社だけでは汲み取れていなかったニーズを、SUUTAの皆さまと連携しながら掴んでいきたいです!
――佐藤さん、ありがとうございました。
※1 総務省/通信利用動向調査