SUUTA Magazine

  1. トップ
  2. Brand
  3. 急速冷結技術で、飲食業界に革新を。一番鮮度の高い状態を保つ「凍眠」
Brand
2024.08.19
SUUTAマガジン編集部

急速冷結技術で、飲食業界に革新を。一番鮮度の高い状態を保つ「凍眠」

「冷凍食品」と聞くとどのようなイメージがありますか?

「便利だけど、やっぱり味が劣る」そんなイメージの方もいると思います。
ところが、「食材・料理の一番鮮度の高い状態を保持できる冷凍技術」がこの世には存在しているのです。

もしかすると、みなさんがおいしいと言って食べている築地のお寿司も、有名しゃぶしゃぶ屋さんのお肉も、実は一度冷凍されたものかもしれないのです。

そんな技術を実現しているのが株式会社テクニカン。

液体を使った急速冷結技術で、飲食業界の常識を塗り替えています。

本記事では、創業の経緯や液体冷凍の魅力について株式会社テクニカン営業部の水元慎司(みずもと・しんじ)さんにお話を聞きました。

一番新鮮な状態を、そのまま冷凍保存できる

凍眠ミニの実機を前に解説してくれる水元さん

ーーまず、テクニカンの冷凍技術について教えてください。

 

水元さん:一般的な冷凍は緩慢冷凍と呼ばれ、冷たい空気によって食品を凍らせるのですが、弊社は液体を冷やして食品を凍らせる急速冷結を採用しています。

 

お肉やお魚は全体の約7割が水分でできています。緩慢冷凍だと、凍らせたときに氷の結晶同士が寄せ合い、だんだんと大きくなり、細胞膜を突き破ってしまいます。その状態で解凍すると、旨み成分がドリップとして出てしまうんです。さらに、そこに空気が入ってきて酸化して冷凍焼けなどを起こします

 

ところが、弊社の急速冷結技術では、凍結するまでの時間が圧倒的に短いために氷の結晶が極少の状態のまま凍ってしまいます。細胞が破壊されないので、ドリップが出ず、一番新鮮な状態のまま保存ができるんです。そのため、冷凍したとは思えないほどおいしく食材・料理をいただけます。

3回冷凍と解凍を繰り返しても、ぎゅっと押してもドリップが出ない

――冷凍技術の事業はどのように始まったのでしょうか?

 

水元さん:弊社の代表は元々、食肉の卸業をしていました。かれこれ40年前ですかね。その頃、外食産業が破竹の勢いで伸びていました。肉の需要が高まって、緩慢冷凍では出荷が追いつかず、どうにか速く凍らせる方法はないかと考えたそうなんです。

 

ある日のこと、弊社の代表がスキューバダイビングをしていると、水の中が20で寒くて寒くて唇が紫色になってしまったそうです。そのときに外気温が20だと快適なのに、水の中だと寒い。同じ20でどうしてこんなに違いがあるんだろうと疑問に思ったそうで。気体と液体とで熱の伝わり方が違うのでは?と思い至り、液体の熱伝導の特性を活かして機械にすれば、肉を早く出荷できるかもと考えたそうです。そして、この技術を確立して、テクニカンを立ち上げたのが1989年ですね。

 

左から、液体冷凍(約-30℃)、緩慢冷凍(約-30℃)、緩慢冷凍(約-60℃)環境で10分冷やした水 液体冷凍のものだけ、明らかに白くなりカチカチに凍っていることがわかる

ーー今販売しているのが液体急速冷結機「凍眠」ですね。


水元さん:そうですね。発売当初は一次産業工場に大型機を導入していましたが、5年ほど前に小型化した凍眠ミニをリリースしました。

コロナにより冷凍食品に対するイメージ向上が追い風に

ーー過去の商品の売れゆきはどうだったのでしょうか?

 

水元さん:売れなくて苦労したようです。軽トラに凍眠を積んで全国を回っていたといいます。最近でこそ冷凍食材へのイメージがよくなりましたが、数年前まではどこに行っても「冷凍したらどうせまずくなるでしょ」との反応だったんです。ですから、わざわざ出向いて話をしても、受け入れられなかったようですね。

 

十数年来のお客さまですら「冷凍した食材を使っていることが顧客にバレると印象がよくない。客足が遠のくかもしれない。だから、うちが凍眠を使って食材を冷凍させていることは秘密にしてほしい」とおっしゃっていましたからね。冷凍食材に対するイメージの悪さが原因で、あまり横展開しなかったんです。

 

ーーそんな中、コロナ禍で機器がとても売れたと聞きました。

 

水元さん:そうなんです。コロナ禍で飲食店の客足が激減した影響で、凍眠ミニが飛ぶように売れたんです。というのも、「お客さまがいつ来るかわからないから食材は常に用意しておかなきゃいけないけど、廃棄が出るのも困る。だったら、食材を凍結して準備しておきたい」との需要が増えたんです。うちの製品を使えば食材の品質を変えずに冷凍できますからね。

 

ーー考えてみると、自分自身、昔ほど冷凍食品への抵抗感がないですね。

 

水元さん:そう言ってくださる方が増えました。最近は、家事の時短が求められるようになり、それにともなって冷凍チャーハンや冷凍餃子を当たり前に食べるご家庭が増えました。だんだんと冷凍食品が浸透してきていると感じます。


しかも、冷凍食品って増粘剤や添加物が入っていないんですよ。しかも、冷凍しているから歩留まりを気にすることもないため安価にご提供できるんです。健康的で安くおいしいものを手に入れる手段として徐々に人気が上がっているんです。

生鮮食品も中華もイタリアンもラーメンもお酒も冷凍可能。食品ロスにも貢献

3度冷凍と解凍を繰り返したとは思えないお肉の弾力

ーー凍眠が活躍するのは、マグロとか生の食材を冷凍する場合ですか?

 

水元さん:生鮮系のお肉やお魚など、足が早いものほど効果を発揮します。たとえば、しらすは、水揚げしてすぐは透明ですが、だんだんと色が濁ってくるんです。生しらすといってもお店に届くときには若干濁ってきますし、さらに置いておくと鮮度が落ちるから釜揚げしないといけません。しかし、うちの技術を使えば、水揚げしてすぐに冷凍できるので、どこにいようと透明で新鮮な状態のしらすが食べられます。

 

ーーテクニカンの導入事例の記事に「カルパッチョを下ごしらえして冷凍、解凍してからお客さまに出している。おそらく、冷凍だと気づいている人はいないと思う」と書いてありましたね。

 

水元さん:プロの魚屋さんですら「冷凍したとは思えない」とおっしゃいますからね。築地のお寿司屋さんでも利用していただいていますから。さらに、今まではお魚やお肉がメインでしたが、最近は中華やイタリアンでも使っていただくようになりました。

 

横浜中華街の萬珍樓(まんちんろう)さんは凍眠で冷凍したグルメを販売する、冷凍食品専門館をオープンしていて、売れゆきがよいみたいです。

 

ーー中華もイタリアンもいけるんですか……!以前銀座の千疋屋さんで冷凍フルーツの販売も行っていただいておりました。

 

水元さん:そうですね。フルーツや野菜は呼吸をしていて、酵素が働いて酵素分解されて水っぽくなっちゃうんです。ベチャッとした食感になりますよね。たとえば、バナナって冷凍すると黒ずんでガリガリに固くなると思うんですが、凍眠を使うとアイスクリームのような独特な食感のスイーツになるんですよ。

 

解凍して5分以内に食べるフローズン状態のフルーツがおいしくておすすめですね。

 

左が凍眠、右が通常の方法で凍らせたゼリー。見た目も食感もまったく違う

ーーお酒も凍らせられるとか?

 

水元さん:はい、株式会社南部美人の社長さんが高知に行ったときにカツオを食べたらしいんです。「このカツオおいしいね」と言ったら「実はこれ冷凍ですよ」と言われて驚いたと。そのカツオが凍眠で凍結したものだと知り、感動してくださり、「お酒も凍らせてみたい」とお問合せがありました。南部美人の蔵で搾りたての日本酒を使って実証実験しましたね。そこから広がりを見せて、今ではいろいろな蔵元さんにご利用いただいています。

凍った日本酒

ーー広がったのは最近ですか?

 

水元さん:日本酒を始めたのは3~4年前で、マーケットが広がってきたのはここ1年くらいですね。

 

ーーお酒も味が変わらないんでしょうか?

 

水元さん:むしろ、おいしくて驚くと思います。みなさんがスーパーなどで買う日本酒は、殺菌処理で火入れをしているので鮮度が落ちています。搾りたての半分くらいの鮮度になっているともいわれます。弊社で取り扱っているのは、搾りたての日本酒を瓶に入れて、そのまま瓶ごと凍らせたものです。本来蔵に行かなければ飲めない純度100%の生酒を世界中どこでも楽しめるわけです。

 

300mlの小瓶を水を張ったボールに入れて、解凍してもらって、最初はシャーベットっぽいんですけど、5分経つとまた風味が変わって、1本でいろんな味が楽しめるんですよね。

 

ーー飲んでみたくなります。

 

水元さん:お酒が好きな方は同じ銘柄でぜひ飲み比べをしてほしいですね。びっくりすると思いますよ。お酒に詳しい方に言わせれば、「麹が生きている」そうなので(笑)。

 

ーーおいしそう。今度試してみます。生鮮系に始まり、イタリアン、中華、フルーツ、お酒と、利用してくれるお客さまがだんだん増えているわけですね。

 

水元さん:凍眠を使って、80席ある居酒屋を店主1人で回しているお店もあります。ビールサーバー、炭酸サーバーを置いてお酒はセルフサービスにして、予約制で事前に料理を作り凍らせて、お客さまがくる前に解凍し、冷蔵ケースや棚に並べておく。そこからお客さまが自分で料理も取れば、店主は片付けに専念できますよね。

 

また、緩慢冷凍だと分離してしまう牛乳や、パスタソースもおいしさをキープしたまま凍結できます。ラーメン屋のスープもまとめて作って凍結しておけば仕込みの回数を減らせます。おせちや恵方巻きなど、特定のシーズンのものも、まとめて作って凍結し、売れ残ったらまた凍らせて保管しておけば廃棄が出ません。

 

冷凍したとは思えない美味しさに驚き言葉を失う 

ーー飲食業界に革命が起こりそうですね。冷凍しておけば廃棄も減るし、よいことづくめですね。

 

水元さん:そうなんです。コロナ禍に凍眠を導入したお客さまからは「売り上げは思いっきり下がったのに、利益は上がったよ」と言われた方もいらっしゃいました。食材は最低限で済むし、人件費も削減できるし、廃棄は減るし。この機械で救われたとのお声をいただきますね。

 

日本の令和3年度の食品ロス量は523万トンとされており、国民1人あたりお茶碗一杯分を毎日捨てているとされています。圧倒的に廃棄を減らせる凍眠は、食品ロスの問題にも貢献できると自負していますね。

ーー冷凍食品専門店TŌMIN FROZENは、一般ユーザー向けですか?

 

水元さん:認知拡大と販路支援が目的です。3年くらい前に始めて、業界ではかなり話題になりました。凍眠を使っているお客さまの商品を全国から仕入れて、販売しています。ECショップもあり、全国どこでも生鮮食品や生酒をお楽しみいただけます。

 

ーー海外でも人気が出そうですが、海外展開の予定はありますか?

 

水元さん:海外でも特許を取っているので、東南アジアあたりから販路を拡大しようと思っています。ヨーロッパやアメリカで日本酒は人気があります。過去に、山口県の獺祭(だっさい)を凍らせてアメリカや中国に輸出したら、とんでもない反響でした。

 

ーー凍眠ミニの利用者さんはどのような方が多いですか?

 

水元さん:飲食店を経営する方は多いですね。機種は大きさによって3つありますので、店舗の広さに合わせてご利用いただけます。焼肉、焼き鳥、寿司、居酒屋、キッチンカー、病院、老人ホーム、ホテルとさまざまですね。

百聞は一見にしかず、ぜひ一度試してみてください

-30℃のアルコールなので火を近づけても引火しない

ーー凍眠は簡単に使えるのでしょうか?

 

水元さん:操作も手入れも簡単で、ほぼノーメンテナンスでご利用いただけます。必要なのは、フィルターの掃除くらいですね。中の液体はアルコールなので、調達も簡単ですし、アルコールは蓄熱率が高く-30をキープしやすいので電気代の消費も少ないです。アルコールはマイナスの温度帯では揮発・蒸発しないためアルコール自体の交換ありません。

 

また、低温のアルコールなので、火を近づけても引火せず安全性も高いです。

 

ーーこんなに高性能なものが簡単に安全に使えるなんてうれしいですね。どのようにレンタル利用してほしいですか?

 

水元さん:大型の凍眠は工事が必要で、レンタルには不向きですね。凍眠ミニをレンタル利用していただきたいです。実際に食材を凍らせてみて、食べて体感してもらうと、違いがわかると思います。

 

ーー最後に、SUUTAに期待していることはなんですか?

 

水元さん:レンタル事業を本格的にしたことがないため、認知度が上がることに期待しています。凍眠を試したいけど、テクニカンまでわざわざ足を運ぶのは……という方もいらっしゃるでしょうから、そのような方が試してくださるきっかけになるとよいですね。百聞は一見にしかず、ぜひ一度試してみてください。

 

ーー水元さん、ありがとうございました。

 

 

Items

液体凍結技術 凍眠の商品ページへ

Share: