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2025.03.19
SUUTAマガジン編集部

熊本から全国へ!25万点以上の器を管理するデジタルの力とは?

熊本で食器レンタル事業を40年にわたり展開してきたクボタ産業。「食器をファッションのように楽しめる世界へ」という理念のもと、有田焼や美濃焼などの食器をお手頃価格でレンタルするサービスを展開しています。

同社が取り扱う食器は、25万点以上。その膨大な在庫管理には、貸出・返却といったレンタル特有の複雑な作業が発生します。食器レンタル業界全体がアナログ管理に頼るなか、同社は事業承継後からデジタル化を進め、事業の効率化と顧客満足度の向上を実現しています。

「アナログでの在庫管理には限界がありました」と語る、株式会社クボタ産業 営業部 草村龍心(くさむら・りゅうしん)さんに、同社がデジタル化へ進んだ経緯とSUUTAに参加する背景についてお話を伺いました。

INDEX

アナログでの管理が限界に

ーーまずは、貴社の食器レンタル事業について教えてください。


草村さん:1969年に創業し、熊本県内を拠点に40年以上、食器のレンタル事業を展開してきました。佐賀県の有田焼や岐阜県の美濃焼の器をはじめ、ガラス製品やカトラリーなど約2,500種類、合計25万点以上の食器を取り揃えています。お客様のニーズに合わせて、手頃な価格で好みの食器を選べることが強みです。レンタルは1枚から1,000枚超まで対応しており、レンタル期間は1日から12ヶ月まで、お客様のご利用用途に併せたプランを複数用意し、九州内ではトップクラスのシェアを獲得しています。

ーー商品管理のデジタル化に取り組んだのはなぜですか?

草村さん:2023年の事業承継前は「現在の在庫数」を書いたメモをコンテナに貼ったり、貸出はお客様ごとにファイルを分け、すべて紙で管理したりしていました。

しかし、アナログでの食器の貸出や在庫確認には時間がかかります。お客様からの問い合わせにもすぐに対応できない現状に限界を感じていたのです。そこで、商品管理システムの導入を決断しました。実は、事業承継前にも商品管理システムを導入し、運用を試みたことはあったのですが、体制が整わず、デジタル化を断念した経緯があると前々社長より伺っております。

ーーとくに困っていたのはどのような点でしょうか。

草村さん:日々変動する在庫数を正確に把握できないことと、ヒューマンエラーが起きやすい環境であったことです。

販売と比べて、レンタルは貸出・返却の工程が常に繰り返されます。アナログ管理では、在庫数の即時反映が難しかったため、お客様からの問い合わせにすぐに対応できませんでした。「このままではお客様に不信感を与えてしまうのではないか」という懸念がありましたね。また、ヒューマンエラーによるトラブルも多発し、アナログでの運用はリスクが高いと感じていたのです。

ーーヒューマンエラーとは、具体的にはどのような内容ですか。

草村さん:1つは在庫管理のミスです。在庫数は手書きのメモをコンテナに貼って管理していたため、メモの紛失や更新忘れによって、正確な在庫数がわからなくなってしまうことがありました。

もう1つは貸出時のトラブルです。お客様の貸出状況を紙ベースで管理していたため、貸出・返却の記入漏れが発生すると、弊社とお客様との認識に食い違いが生じ、トラブルに発展するケースもありました。アナログ管理には、多くの時間と労力がかかります。会社の働き方改革や業務効率化を進めるためにも、システムのデジタル化は不可欠でした。

商品探しの時間を9割カット

ーーシステム導入後、どのような変化がありましたか。

草村さん:システム導入後は、2つの大きな変化がありました。1つ目は業務時間の削減です。在庫数の確認とピッキングと返却時に商品棚を探す時間が大幅に減少し、月あたり約18時間の削減につながりました。とくに商品のピッキング作業では、1案件あたり約80分かかっていましたが、現在は約8分で完了し、9割の時間短縮を実現しています。また、返却された食器の管理も楽になりました。収納場所が明確に決まったことで、以前のような混乱もなくなり、スタッフの負担も軽減されたのです。

2つ目は、お客様への対応スピードです。今までは、お問い合わせいただいてから回答するまでに数時間かかっていましたが、現在は数分しかかかりません。加えて、サービスを一度利用したお客様からの「以前使ったお皿をまた使いたい」という要望にも、利用履歴から検索してすぐに回答できるようになりました。

デジタル化によって業務効率の向上だけでなく、ヒューマンエラーも少なくなりました。お客様へのサービスの質を大きく向上できてうれしく思います。

ーーシステム導入後の、受注から返却までの流れを教えてください。

草村さん:電話・FAX・メール・LINE・オンラインストアと幅広く対応しております。熊本県内のお客様は直接来社し商品を選ぶ方もいれば、オンラインストアで選ばれてから来店する方もいます。県外のお客様はオンラインストアでの注文が中心です。

内容が決まれば、あとは下記の基本フローのとおり、商品準備を行います。

  1. システムに情報を取り込む
  2. ピッキングリストを出力する
  3. リストに基づき商品をピッキングする
  4. 人によるWチェックを行う(ピッキング時と検品時)

最後は人の目で必ずダブルチェックを行い、正確性を確保しています。

配送については、基本的には商品梱包のための準備期間と配送準備に1〜2営業日を設け、最短で2営業日、最長でも4〜5営業日でお手もとに届くように配送しています。熊本県内のお客様には自社配送も可能です。返却時は、商品を緩衝材で巻く、段ボールに詰めるなど、一連の準備をお客様ご自身で行っていただきます。納品時に同梱した案内書に沿って作業してもらうとスムーズですね。

ーー商品管理システム導入にあたりどのような点を重視しましたか。

草村さん:サポートの手厚さを重視しました。食器のレンタル事業は珍しいため、システムが実際にうまく機能するかわからないなか、親身になってサポートをしてくれた企業があり、その企業へ決めました。私たちの現場に直接足を運んでくれたり、システムの細かな設定を柔軟に提案してくれたりしました。また、365日の電話サポートが付いていることも安心材料のひとつでした。

ーーシステム導入で大変だったことはありますか。

草村さん:片付け作業が大変でした。当時の倉庫には平置きのお皿が敷き詰められ、どこから手をつけたらいいのかわからない状態だったのです。一度すべての器を外に運び出し、掃除をしながら商品を選別しました。また、新しいラックを作成する必要もあり、その作業だけでも数ヶ月もかかりました。システムを導入するには、2,500種の器の商品番号やラックの定位置も指定しなければならず、システム導入の準備に時間がかかりましたね。

ーーお客様からの反応はどうですか。

草村さん:お客様からの評判は上々です。過去を知っているお客様からは「納品スピードが早くなった」「対応が良くなった」との声をよくいただきます。

また、システム導入を機に商品の配置(ロケーション)も全面的に見直し、食器の精査や商品名や商品コードも決めました。以前は、お客様が倉庫に来て商品を見たいと思っても探しにくい状態でした。しかしシステムを導入してからは、直接倉庫に来て商品を確認するお客様からも、「商品が見やすくなった」「器がきれいになった」と好評です。システムのおかげで、お客様とのコミュニケーションも深まっている実感があります。

デジタル化とSUUTAで広がる可能性

ーー陶磁器業界全体のデジタル化の現状はいかがですか。

草村さん:最近オンラインストアを開設しましたが、業界全体を見ると、多くの企業ではまだ紙ベースのカタログが主流です。なかには、WEBカタログや紙のカタログさえない企業もあります。紙のカタログは一度発行すると、最新の情報をリアルタイムで反映できないという問題がありますね。

ーー業界でのデジタル化への意識は高まっているのでしょうか。

草村さん:デジタル化には積極的ですね。最近では納品書や請求書のデータ送付が当たり前になってきました。しかし、どうしても人手不足やコスト不足などの問題で「デジタル化したくてもできない」というのが現状です。

とくに、小規模な企業では、少人数で運営しているケースも多く、食器の製造で手いっぱいの企業も多く見られます。弊社も中小企業ですが、システム導入には相当なマンパワーが必要で、人員確保の難しさを実感しています。

ーーSUUTAの利用を決めた理由をお聞かせください。

草村さん:商品管理のデジタル化により業務の効率化は実現できましたが、私たちは地方企業として人口減少や取引数の減少という新たな課題に直面しています。そんななか、SUUTAの担当者から話を聞き、課題解決の糸口としてSUUTAの利用を決めました。

地方企業では手の届かないマーケットに参画できることに新たな可能性を感じています。サイトを通じて簡単にレンタルできる仕組みは、単独では実現が難しい領域です。また、弊社には負担が少なく、手厚いサポートがある点も魅力ですね。

ーーそう言っていただけて、こちらこそありがたいです。

草村さん:私たちがオンラインストアを立ち上げたばかりで忙しいなか、SUUTAのサポートチームには大変助けられました。商品データはあるものの、SUUTA側への登録が遅れていたため、商品登録を全面的にサポートしてもらいました。

サポートチームから商品コードの変更も提案してもらい、2営業日もかからずに修正してくれるなど、きめ細やかな対応に大変感謝しています。

ーー今後の展望についてお聞かせください。

草村さん:陶磁器業界は、まだほとんどがアナログ管理を行っています。このまま地場産業がアナログのまま衰退していくのは忍びなく、デジタルの力で伝統産業を活性化させたいと考えています。私たちの取り組みが業界全体のDX推進のロールモデルとなり、デジタル化の可能性を示していきたいです。
また、食器レンタル事業は「必要な分だけ借りる」という、時代に即したサステナブルなビジネスモデルです。顧客満足度を高めながら、自社オンラインストアとSUUTAのプラットフォームを活用し、全国へサービスを展開していきたいと考えています。

ーー具体的にはどのような取り組みをお考えですか。

草村さん:SNSやWEB広告を活用して、食器レンタルの新しい可能性を発信していきたいと考えています。実際、WEB広告を通して、従来の飲食業や宿泊業に加え、県外の福祉施設など、新しい業種のお客様も徐々に増えているのです。
現在は飲食業・宿泊業が約4割ずつですが、今後はゴルフ場のレストランや福祉施設などの新規分野や若い世代を含む、さらに幅広い層への認知拡大を図っていきたいと考えています。


ーー草村さん、ありがとうございました。

有田焼や美濃焼の器を必要な分だけ。55年の実績を持つクボタ産業が提案する、自由な食器選びのカタチとは

有田焼や美濃焼の器を必要な分だけ。55年の実績を持つクボタ産業が提案する、自由な食器選びのカタチとは

40年以上の歳月をかけて収集された25万点以上の食器をレンタルで。食器レンタルで自由な食器選びを。

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