時間を忘れて作業に没頭している最中に、いちいちキーボードやマウスへ意識を向けなければならない場面があるとしたら、それは少し惜しい体験かもしれません。
「Orbital2(オービタルツー)」は、クリエイターの“もう片方の手”として設計された、左手入力デバイスです。
制作中の流れを止めずに、手の感覚で次の動作へと進むことができます。
押す・回す・倒すという直感的な操作により、ショートカットやツール切り替えがスムーズに。
本記事では、Orbital2の構造・機能・使用感をレビューしながら、実際の制作作業にどのような変化をもたらしてくれるのかを解説します。
INDEX
「Orbital2(オービタルツー)」は、ブレインマジックが開発した左手用の入力デバイスです。
クリエイターがよりスムーズに、より深く作業に没入できるよう設計されたこのアイテムは、回す・押す・倒すというシンプルな動作だけで直感的な操作を可能にするユニークなコントローラーです。
キーボードショートカットに依存することなく、ソフトの切り替えやブラシのサイズ変更、タイムラインの移動などを、手の感覚だけで完結させることができます。
物理ボタンの数を増やすのではなく、ひとつのノブ(Orbital Engine)に複数の操作軸を集約するという発想が、このアイテムの大きな特徴です。
Orbital2の核となるのが、デバイス上部に設置された円柱状の操作ノブ「Orbital Engine」です。
このノブは、
という3つの操作に反応します。
これにより、通常の左手デバイスにありがちな「ボタンの数だけ覚える煩雑さ」や、「手を移動させるムダな動き」を減らし、操作に対する感覚的な理解をそのまま反映できるようになっています。
たとえば、Photoshopでブラシサイズを変えるのにノブを回し、倒してツールを切り替え、押して「アクションを実行する」という流れがひとつの指先で完結するのです。
Orbital2は、専用の「Orbital2 Application」から動作設定を行います。
各操作には自由にキーやマクロを割り当てられ、ソフトウェアごとに設定を切り替える「プロファイル機能」も用意されています。
対応ソフトは非常に幅広く、
など、さまざまなクリエイティブツールに対応しています。
またプロファイルごとにLEDカラーを切り替えられる「Glow Ring」機能も搭載されており、視覚的にも今どのモードかがすぐに把握できる設計になっています。
Orbital2は直径約60mm・高さ約68mmと非常にコンパクトな設計です。
デスクに置いても圧迫感がなく、使っていないときもそのまま置いておけるデザイン性の高さも魅力。
本体はアルミニウム合金をベースに、マットな質感のブラックで統一されています。
LEDのGlow Ringが程よいアクセントになり、プロフェッショナルな作業空間にも自然となじむデザインです。
重量も約130gと軽量ながら、底面にはしっかりとした滑り止め加工が施されており、片手操作でも安定感を保てるのが非常にありがたいポイントです。
Orbital2の特徴は操作性だけにとどまりません。
長時間の作業でありがちな腱鞘炎や手首の疲れといった身体への負担を減らす設計がなされています。
頻繁に使うショートカットや手の移動を減らすことで、マウス+キーボード”だけで作業していたときに比べ、明らかに手が楽になりました。
特に描きながらツールを切り替えたり、タイムラインを操作したりといった、常に手を動かし続けるワークフローの中ではその効果がより顕著です。
全高 | 約68mm |
底面~フラットリングの高さ | 約33mm |
フラットリング直径 | 約60mm |
ダイアル直径 | 約28mm |
重量 | 約130g |
接続方法 | 着脱式USBによる有線接続 |
まず驚いたのは、Orbital2の導入のしやすさでした。
専用アプリを公式サイトからインストールし、USBケーブルで接続すればすぐに使用可能です。
デバイスを認識すると、ソフトごとのテンプレートが用意されており、プロファイルを選ぶだけで最低限の操作環境が整います。
もちろん、自分の作業スタイルに合わせて細かくカスタマイズすることもできますが、「まず使ってみる」という段階までは非常にスムーズで、面倒な初期設定に煩わされることはありませんでした。
実際に使い始めてすぐに感じたのは、手の動きがそのまま操作に変わる感覚です。
ノブをくるっと回してブラシサイズを変えたり、軽く倒してツールを切り替えたり、押し込んで描画を確定させたりできます。
動作と結果のつながりがとても直感的で、意識せずとも操作が自然に体になじんでいきました。
特に「倒す」操作の精度が高く、どの方向にどのくらい倒したかによって別のアクションを割り当てられるため、物理的なボタンの数に縛られない多機能性が得られます。
私はPhotoshop、CLIP STUDIO PAINT、Premiere Proの3つを中心に使用しましたが、それぞれに対して専用プロファイルを用意しておくことで、ソフトを切り替えるたびにOrbital2の操作もシームレスに切り替わるのが非常に便利でした。
たとえばPhotoshopでは、
というふうに、マウスを持ったまま左手だけでこれらの操作が可能になります。
Premiere Proでは、
といった編集作業を、左手だけで多くの機能を操作できる感覚が心地よく、「クリックとキー操作で細かく調整する」ストレスから解放されました。
Orbital2を使っていて最も大きな変化は、作業のリズムが止まらないことでした。
従来のショートカット操作では、ふと手を離してキーボードを探したり、視線が一度UIに流れたりすることで集中が切れる瞬間がありました。
ですが、Orbital2を導入してからは、ひとつの動作が次の操作につながっていく感覚が生まれ、思考と手の動きがより一致するようになりました。
まるで「操作する」から「操る」へと変わったような、滑らかな感覚が続きます。
Orbital2の最大の魅力は、手の動きとソフトの反応が直結している感覚です。
ノブを回す、押す、倒すという基本動作は、いずれも直感的で、最初はマウスの補助的な操作として導入していたつもりが、気づけば主軸になっていることも珍しくありません。
ショートカットの組み合わせを頭で考えるより、指先で感覚的に動かすことができるため、思考の流れを止めずに作業を進めることができます。
これは、時間効率だけでなく、集中の質にも関わる大きな利点です。
例えばPhotoshopやPremiereなど、複数のツールやアクションを頻繁に行き来する作業では、ショートカットの記憶やマウス移動の繰り返しが意外と負担になります。
Orbital2では、必要な操作がすべて片手に集約されているため、マウスから手を離すことなく操作を完了できます。
これはクリエイティブ作業において「自分のリズムを保ちたい」人にとって非常にありがたい仕様です。
集中が切れず、テンポが途切れない便利さの一歩先にある快適さです。
Orbital2は見た目にも美しく、ミニマルかつ上質な質感を持っています。
直径約60mmというコンパクトなサイズは、場所を取らず、どんなワークスペースにも自然にフィットします。
Glow RingのやわらかなLEDの光も控えめで、環境に干渉せず、でもしっかりとプロファイルを視覚的に伝えてくれます。
道具感を強調しすぎない、ちょうどいい存在感が魅力です。
長時間の作業では、細かい手首の動きやショートカットの連打が積み重なり、手首の疲れや腱鞘炎に繋がることも少なくありません。Orbital2は、手の自然な動きで多くの操作をカバーできるため、指や手首の無理な動きが減ります。
特にペンタブユーザーやトラックボール派の人にとっては、「いつも同じ筋肉を酷使している」感覚が軽減されるのを実感できると思います。
Orbital2には本体を囲むように配置されたLEDリング「Glow Ring」が搭載されています。
このリングは使用中のプロファイルやソフトごとに色を切り替えることが可能で、どのモードがアクティブになっているかをひと目で把握できます。
たとえばPhotoshopならブルー、Premiereならパープル、CLIP STUDIOならグリーンというように割り当てておけば、作業中に視線を大きく移さなくても、今どの環境で操作しているかが自然に分かります。
地味に見えて、実は非常に実用的な機能です。
加えて、LEDの発光は控えめで、作業空間を邪魔しません。
機能としてだけでなく、視覚的な心地よさを演出してくれる要素でもあります。
高いカスタマイズ性を持つOrbital2ですが、自分に合った操作体系をつくるには多少の学習が必要です。
操作の割り当て方次第で利便性は大きく変わるため、最初は「どの操作に何を設定すべきか」で試行錯誤が必要でした。
とはいえ、プリセットやテンプレートも豊富に用意されているので、ゼロから考える必要はなく、徐々に自分仕様に整えていくことができます。
Orbital2の強みは、画像編集ソフトのPhotoshopや、動画編集ソフトのPremiereなど操作の多いソフトでの効率化にあります。
ツールの切り替え、タイムラインの移動、ブラシサイズの調整など、細かい操作が頻繁に発生する場面では大いに力を発揮します。
一方、操作の少ない作業や一般的な業務では、すべての機能を活かしきれない場合も考えられます。
作業内容が限定されている方には、少し持て余す印象が残るかもしれません。
自分が普段行っている作業でどのくらいOrbital2が活躍してくれるか、一度レンタルで試してみるのもおすすめです。
これまでキーボードショートカットや他社製の左手デバイスに慣れている方にとっては、「回す・押す・倒す」という操作体系が新鮮であるぶん、最初は違和感を覚えることもあります。
ですが独自の操作性に慣れれば、直感性と柔軟性の両立という点で、従来のデバイスでは得られなかった体験が待っています。
また、SUUTAではブレインマジックをはじめ、さまざまな左手デバイスをレンタルできます。
左手デバイスは機能や操作性の幅が広いアイテムなので、いろいろ試してみたいですよね。
いくつかの左手デバイスを買わずに試してみて、自分にとって最適な1台を選ぶレンタルの上手な使い方です。
Orbital2はUSB Type-Aでの有線接続が前提となっています。
安定性の面では信頼できますが、最近のMacBook Airや一部のノートPCではUSB-Cポートしか搭載されていないことが多く、変換アダプターが必要になります。
そのため、外出先などで気軽に使いたい方にとっては、少し煩雑に感じる場面があるかもしれません。
USB Type-Cへの対応が今後進むと、さらに導入しやすくなるでしょう。
左手デバイスの中では比較的高価な部類に入るOrbital2ですが、その設計思想や操作感、長期的な快適さを考えると、作業の相棒としての投資価値は十分にあると感じました。
クリエイター向けの左手デバイス「ツアーボックス」と比べると10,000円ほど高く、35,000円という価格は、なんとなく買って試してみるという価格でもないでしょう。
しかし、毎日数時間、何年も使い続けるツールとして見るなら、コスト以上の価値をもたらしてくれる可能性は高いです。
「なんとなく試してみたい」「本当に長く使えるのかが気になる」という方には、レンタルで試してみることをおすすめします。
Orbital2は、単なる左手デバイスではありません。
最初の設定には少し時間がかかりますし、使いこなすまでには慣れも必要です。
ですが慣れれば、「操作に気を取られない心地よさ」があります。
これはただ作業効率を上げるだけの話ではなく、作業と向き合うリズムそのものを変えてくれる体験でした。
特にPhotoshopやPremiere、CLIP STUDIOなど、手数の多い作業をしている方に試して頂きたい商品です。
しかし本当に自分の作業スタイルに合うか分からない、35,000円という価格がネックという方は、まずレンタルで試してみてはいかがでしょうか。
気になる方はぜひOrbital2の商品詳細ページをチェックしてみてください!