ケンコートキナーの「VC Smart 12×21 Cellarto」は、防振モード自動選択機能を備えた防振双眼鏡。
ライブ・コンサートでの使用にぴったりなコンパクト設計でありながら、高倍率&高精度な手振れ補正で快適な鑑賞体験をサポートしてくれます。
ただ、双眼鏡は実際に触ってみないことには、なかなかその使用感をイメージできないものです。
しかし、希望小売価格は86,000円(税別)と、安価ではないため、気軽に購入して試すことは難しいでしょう。
そこで今回は、実際に「VC Smart 12×21 Cellarto」を使った感想を交えて、製品の使用感と魅力をご紹介します。ライブ・コンサート向きと称される理由や、通常の双眼鏡との違いをチェックしてみてください。
INDEX
まずは、双眼鏡を選ぶときのポイントについて解説します。
ライブ・コンサート用に双眼鏡を選ぶときは「倍率」と「明るさ」を重視しましょう。
双眼鏡の倍率は、製品型番(例:VC Smart 12×21 Cellarto)の「○×○」の数字のうち前者を見ると確認できます。
倍率が高ければ良いというわけでなく、倍率が高いと視野が狭くなり、手振れも感じやすくなるというデメリットもあります。
双眼鏡を選ぶときは対象物までの距離を考慮することが重要です。
ライブ・コンサートが多く開催される会場の規模ごとに、おすすめの倍率の目安をご紹介します。
アリーナ以上の規模では、会場の中央や後方にもステージが設けられることがあります。
メインステージにごく近い席であっても、別のステージを観るときに備えて双眼鏡を用意しておくのもおすすめです。
ちなみに筆者は、横浜アリーナ(収容人数17,000人)や京セラドーム大阪(収容人数55,000人)のスタンド席後方から12倍の双眼鏡を使用したことがあります。
別製品ではありますが、ステージ全体が鮮明に見え、メインステージに立つ出演者の顔もそれぞれ判別できました。
人それぞれの注目したいポイントによっても適切な倍率は変わるため、上記表はあくまでも目安として、自分に合う倍率を探ってみてください。
加えて、倍率と同等に重要なのが「明るさ」。
双眼鏡のスペック表に記載されている「明るさ」の数値は、対物レンズ有効径²÷倍率²の式で求められるものです。
同じ倍率の双眼鏡なら、対物レンズ有効径が大きい方が多くの光を集めることができ、視界がくっきりと明るくなります。
客席が薄暗くなる屋内でのライブ・コンサートに双眼鏡を用いるなら、明るさの数値は9~25程度のものを選ぶのがおすすめです。
ただし、対物レンズ有効径は双眼鏡自体のサイズに比例するため、明るさの一点にこだわると大型で重いものになってしまいます。
下記の表を参考に、用途に合った有効径のものを見つけてみてください。
対物レンズ有効径 | おすすめの用途 |
20~25mm | ライブ・コンサート、スポーツ観戦、生物観察 (携帯性を重視するとき) |
25~40mm | 暗所や夕暮れ・夜明けの生物観察、ライブ・コンサート (携帯性よりも明るさを重視するとき) |
40mm~ | 夜間・屋外での天体観測、業務用 |
防振機能つきの双眼鏡は通常のものよりも重量が増すため、2~3時間ほど立ちっぱなしになるライブ・コンサートではできるだけ小型で軽い機種を選ぶのがおすすめです。
常に着席して公演を鑑賞するときには、明るさを重視してやや大型な機種を選んでみるのもよいかもしれません。
今回選んだ「VC Smart 12×21 Cellarto」の内容物は以下のとおりです。
【VC Smart 12×21 Cellarto・内容物】
ストラップを装着した状態の本体がぴったり収まり、高いクッション性があるポーチが付属しています。
別途ポーチを用意したり、緩衝材を併用したりせずとも安心して持ち運べる仕様です。
「VC Smart 12×21 Cellarto」は、ライブ・コンサートの鑑賞用途に適した以下の要素を兼ね備えています。
【VC Smart 12×21 Cellartoを選んだ理由】
12倍の倍率は、アリーナやドームなどで開催される大規模なコンサートに適しています。
より高倍率の双眼鏡も存在しますが、どうしても本体が大型かつ重いものになり、その中で携帯性を重視すると明るさや解像度が犠牲になりがちです。
「VC Smart 12×21 Cellarto」は、双眼鏡選びにおいて重要な「倍率」と「明るさ」を十分に確保しながらも、比較的軽量でボディの凹凸が少ない設計になっています。
2~3時間の公演を通して使い続けても、本体を持つ手やストラップをかける首に疲れが溜まりません。
加えて、本体内部の光学レンズやプリズムに施されたフルマルチコート・フェイズコート・高反射コートが光の透過損失を抑え、明るさと解像度に磨きをかけている点も魅力的。
防振機能は本体上部に設けられたスイッチの操作で簡単にオン・オフを切り替えられ、鑑賞に集中できます。
ケンコー・トキナー/Kenko Tokina VC Smart 12×21 Cellarto
「VC Smart 12×21 Cellarto」のスペックは以下のとおりです。
ライブ・コンサートでの使用を目的に双眼鏡を選ぶなら、まずは購入ではなくレンタルでの利用がおすすめです。
双眼鏡のレンタルがおすすめな理由や、購入と比較したメリットをご紹介します。
ケンコー・トキナー/Kenko Tokina VC Smart 12×21 Cellarto
防振双眼鏡は通常の双眼鏡よりも高額で、希望小売価格が10万円以上になる製品も多くあります。
そこで、気になる製品を見つけたら、まずは1回レンタルするのがおすすめです。
ライブ・コンサートの日程に合わせてレンタルを申し込み、使用日目に届く双眼鏡を受け取って、使い終わったら宅配便などで返送するだけ。
製品を購入するよりもはるかに少ない負担で、実際のライブ・コンサートにおいて双眼鏡を使ってみることができます。
これまで防振機能つきの双眼鏡を使った経験がない方や、購入を決める前にさまざまな種類の双眼鏡を比較したい方には特におすすめです。
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双眼鏡の倍率は高ければ高いほどよいわけではなく、会場の規模によって適切な倍率が異なります。
倍率12倍の「VC Smart 12×21 Cellarto」は、収容人数15,000人前後のアリーナの上階や、50,000人前後のドームなどでの使用に向いています。
しかし、収容人数2,000人程度のホールでは、高倍率ゆえに視野が狭くなりあまり適しておらず、もっと倍率の低い双眼鏡が必要になります。
このように会場の大きさによって求められる双眼鏡は様々ですが、高額な双眼鏡を何台も購入することは難しいでしょう。
そこで、双眼鏡を購入するのではなく都度レンタルすれば、その都度の会場にあった双眼鏡をお得に使用できます。
毎回異なる機種を選んでお気に入りの1台を見つけたり、新しい機種を気軽に試したりできることも大きなメリットです。
SUUTAでは様々な倍率の双眼鏡がレンタルできるので、ぜひチェックしてみてください。
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筆者が「防振双眼鏡 VC Smart 12×21 Cellarto」を実際に使用して分かった使用感や独自の魅力を、4つのおすすめポイントに分けてご紹介します。
「防振双眼鏡 VC Smart 12×21 Cellarto」は、収容人数15,000人前後のアリーナや、50,000人前後のドームで開催されるコンサートに適した12倍ズームの双眼鏡です。
使用中の手振れを自動的に補正してくれる防振機能も備えています。
アリーナのスタンド席後方や、ドームの1階スタンド席(下段)後方、それ以上の階のスタンド席(上段)からの使用でも出演者の顔を判別できます。
今回は、筆者は1,300人規模の劇場にて、2階後方席から使用してみました。
劇場の上階・後方席からは、レンズの円の中にちょうど出演者1人の頭からつま先までが収まる程度まで大きく見えます。
細かな表情の変化や仕草に注目したいときや、個人のパフォーマンスに集中して鑑賞したいときには、適していました。
ちなみに、その観劇の際、筆者はもう一つ倍率の異なる双眼鏡「VC Smart コンパクト 8×21」を持参していました。
対物レンズ有効径はそのまま、倍率が8倍に抑えられている機種です。
同じ席から見比べてみると、8倍のレンズの円の中では、出演者が手を上に伸ばしても収まりきるくらいの余裕が生まれます。
加えて、今回比較した2台のうち、12倍双眼鏡の明るさ値は3.2であるのに対し、8倍双眼鏡は6.8。
明るさが大きく向上するため、小規模な会場では「VC Smart コンパクト 8×21」のほうが快適に使えます。
そのような体験を経て、12倍の高倍率が真価を発揮するのは、やはりアリーナクラス以上の大規模な会場であると実感しました。
さらなる検証のため「防振双眼鏡 VC Smart 12×21 Cellarto」を使って遠くに見える観覧車を覗いてみました。
肉眼では、ひとつひとつのゴンドラに人が乗っているのかどうかも分かりにくい距離感です。
※写真は合成イメージです。
双眼鏡を覗くと、円の中にゴンドラが4~5個入ります。
乗っている人の数や体格、服装などをおおまかに判別できました。
サイズは135×50×120mm、重量は409gというコンパクトな設計も魅力のひとつです。
iPhone 15 Pro Maxと並べてサイズを比較してみました。
ポーチに入れた状態では、縦幅が同程度になります。
レンズキャップやストラップを装着した本体+クロスをポーチに収納し、そのままバッグに入れて持ち運べます。
必要なものだけがぴったり収まるスリムなポーチなので、なにかと荷物が多くなりがちなライブ・コンサートの日にもぴったりです。
電池を入れた状態の本体は431.5gと、今回サイズ比較をしたiPhone 15 Pro Max(221g)の約2台分です。
防振双眼鏡としては比較的軽い部類ですが、片手のみで構えるとずしっと重さを感じ、長く覗き続けると手振れもやや大きくなりました。
ストラップで首にかけることも可能ですが、長時間継続すると段々と首に負荷を感じそうです。
身体の負担を軽減する意味でも、首にかけるストラップ1点で支える持ち方は極力避け、覗くときには両手で構えるとより快適に使えます。
手に持ったり、首から下げたりしても負担が少ない双眼鏡を求めたい方は、防振機能なしの双眼鏡を検討してみるとよいでしょう。
「防振双眼鏡 VC Smart 12×21 Cellarto」の防振機能は、本体上部に設けられているスイッチでオン・オフを切り替える仕組みです。
使い始めにはスイッチを奥に、使い終わりには手前に動かすだけ。
防振双眼鏡の中には、防振機能をオンにするために常に指先でボタンを押し続けなければならない製品もあり、比較すると使用感はとても快適でした。
また、スイッチ式の製品でも、切り替え忘れによる電池の浪費を避けるべく、一定時間が経過すると自動的に防振機能がオフになるものが多くあります。
しかし「防振双眼鏡 VC Smart 12×21 Cellarto」では、連続駆動時間を延ばしてオートパワーオフ機能を撤廃している点が特徴的です。
単3形アルカリ乾電池1本で約28時間稼働するため、複数回の公演の間スイッチを入れっぱなしにしていても電池切れは起こりにくいでしょう。
ライブ・コンサート中の一瞬のチャンスも逃さず、鑑賞に集中できます。
「防振双眼鏡 VC Smart 12×21 Cellarto」には、防振機能がオンになっている間に緑色に点灯するランプが搭載されています。
暗所でも防振機能がオンになっていることを一目で確認できる便利な仕様ですが、ライブ・コンサート中の客席ではこの光を邪魔に感じてしまうことも。
そんなときには、ランプカバーを右側にずらすことによって目隠しができます。
ランプカバーを操作しているところ
暗転時や、ステージ側の照明も少なく絞られるシーンでは特に役立ちます。
まさしくライブ・コンサート用途にうってつけの仕様であり、ケンコートキナーのこだわりを感じられました。
12倍の高倍率でありながらコンパクトな設計で、アリーナやドームでのライブ・コンサートにぴったりな「防振双眼鏡 VC Smart 12×21 Cellarto」。
オートパワーオフ機能を撤廃したスイッチ式の防振機能を備えており、初めて防振双眼鏡を使う方にとっても使いやすい製品になっています。
希望小売価格は86,000円(税別)と高額であるため、購入を考えている方も、試しに一度使ってみたいという方も、まずは短期間のレンタル利用がおすすめです。
SUUTAでは、あらかじめ指定したライブ・コンサートの日程までに自宅に配送される製品を受け取り、使用後に宅配便などで返送するだけで手軽に双眼鏡をレンタルできます。
会場の規模に応じて機種を選び、お気に入りの1台を探してみてはいかがでしょうか。